要と明良

明良は和解前はわりと本気で要のことが嫌いだし鬱陶しかった。他の年下とは嫌がりつつ喋るのに対要だと全部一言だったのはその価値すらないと思ってたから。明良には要の下心は丸見えだった。
それでも要とも和解したのは、そうすれば離れていくと思ってたから。要は何でも自分の思い通りがよくて、そうする為に思い通りにならない明良と仲良くして友達と言う名の無自覚奴隷にさせようとしてた。アメっちがいい例。と明良は思ってたし、要も実際そのつもりだった。でもいざ和解してみたら相変わらず絡んでくるから、そこでこいつに対して勘違いしてたのかも、って気付く。自分の中で処理しきてれない何かがあるんだなあと。

僅かでもそういうものがあるんだったら、こいつにも改善の余地はあるんじゃないのと思った明良。明良は和解したことによって自分がかなり変わったのも自覚してたし、その頃には色んなものが見えるようになってた。要自身が変わることを全く望んでないなら放っとくけど、心のどこかでそれに葛藤しているのもわかってた。こいつにも人の心は持てるぞ、じゃあ俺がやってやるよと。誰かがやらないとこいつ変わんないだろとも思ってる。実際そう。変えてその果てに友達になってやるよ、と。

一方の要は、和解した時にこれでもう面倒なことしなくていいなと思ってた。でもなんでか明良に話しかけにいっちゃう自分がいて困惑する。挙げ句の果てには散々嫌われてても明良に絡む理由があったあの頃のがよかったと思い始めて、いやいや待て待てってなる。
あいつ和解してもなんか自分勝手で思い通りにならないし、だからまだ絡まなきゃ駄目だから…ってお得意の思考停止。そのまま今までずるずるきてるけど、明良がやたら絡んでくるのが嬉しいのも、自分が関係ないとこで楽しそうにしてるとむかつくのも全部気のせいにしてる。
でもどんどんドツボにはまってるのには気付いてない。それは明良もそういうとこあるけど。今のとこは要からの好意に全く期待してないので、予想外にそういうことされると本当はすごく嬉しい。

辰巳や檜が要をどうしようともしないのは、意識下で要のそういうところに気付いててちゃんと自分達に好意があるってわかってるから。

明良はわりと真面目にアメっちのことが友達として大事なので、アメっちのことをいいように利用してる要がムカつくっていうのもある。というかそれが二人が殺伐した感じになる理由の大半。