アラアラ

元々近所に住んでいた親同士が産婦人科で知り合う。出産予定日が同じだったのと名前も似ていたこともあり「双子ちゃんだね~!」と意気投合。物心つく頃には当然のように家族ぐるみで一緒にいた。
二人も最初はそれこそ兄弟のように常に一緒にいて仲良くしていたが、中学生になる頃ぐらいから自分たちの性格や趣味が全く合わず、相性が悪いことに気付き始める。この辺りで新はずっとやってたサッカーを辞めた。
中学も終わる頃には互いを嫌い始めていたが、親たちの前でそういった言動をしたら説教されたり怒られたり悲しまれたりし、小さな町なこともあり町中の大人に話が広がって面倒なことになったので、親(大人たち)の前では仲のいいフリをするのが暗黙の了解になった。

親同士の意図により一緒にされた高校では、最初から新は嵐に冷たく暴言を吐くようになる。初めは戸惑っていた周囲も、嵐のコミュ力の低さや変にプライドの高いところが鼻につき、次第に冷たい態度を取るようになる。
大学は学力の差からさすがに別になり、新が家に帰らない日が出てくる。そして卒業すると同時に旅に出た。
嵐は最初、新がやっといなくなってせいせいしたと思っていたが、大人にしても同級生にしても周りの目のせいで日に日に居心地が悪くなる一方だったので、行く予定だった大学院も蹴って故郷を出た。新に会ったのは偶然。

嵐はほぼ無断で旅に出たので、途中まではかなり親たちから電話やらメールやらが来てた。新は最初の頃からそれに気付いてたけど無視してた。