ヨギ兄弟

頭の固いエリート系でまあ金のある方な父親と、ほんわかしてるけど自分勝手なところがある貧乏母親。ヨウイチが産まれてすぐ父親が「長男は自分の手で育てる」と言い始める。母親は本当は嫌だったけど、金がある夫に歯向かうわけにいかない関係だったので、言うことを聞くしかなかった。
コウイチに対しては父親は「次男なんかには興味がない」という態度だったので母親が育てる。そのまま離婚はせずに別居。ヨウイチ3歳、コウイチ1歳ぐらい。


父親が自分の息子なら何でも一番にできて当然だ、という考え方だったので、ヨウイチは物心つく前から異常なまでのスパルタ教育を受ける。ただ元々の才能がすごかったので、同い年の中で一番になるのはあっという間だった。それをスパルタ教育したので力はまだしも知識は大人をも越えるようになる。
小さい頃から色んな知識を持ってしまったのと、教育のせいで外に出ることも少なく、他人と関わることがなかったため、どんどんひねくれた性格になっていく。周りも最初は天才や神童ともてはやしていたが、ヨウイチが6歳になった辺りでその異常さに気づき始め、段々気味悪がったり怖がったりするように。

そんな中、母は定期的に金を受け取りに父とヨウイチの家にやって来る。離婚しなければ生活費は渡すという条件だった。ヨウイチ9歳、コウイチ6歳の頃からコウイチも一緒に来るように。ただコウイチは母が何をしにこっちの家に来ているのか知らない。父と母がやり取りをしてる間はヨウイチの部屋で待つ。

ヨウイチ自身自分がコウイチの兄だという意識はすごく強い。良くも悪くも。昔はこんな奴が自分の弟?っていう方面だったけど、どんなに嫌いでもこいつが他人だったらと思ってもコウイチが弟だという事実は無視しなかった。
ヨウイチにどうこうできることじゃないっていうのもあるけど、それ以上に自分の存在意義を脅かす存在だったのでは。何もできない愚図だと言いつつ、同じ血を引いてる以上コウイチにも自分のような天才になる可能性があるんじゃないかと思ってた。当時のヨウイチは天才じゃなかったら死ぬしかない勢いだったのもあって。

 

兄弟において出来の悪い方が自分の存在意義を見失って苦しむってネタはよくあるけど、コウイチは多分特にそれが強かった。小さい頃は兄が自分の能力から何から全て奪っていった気がして本気で憎かった。

今は兄になくて自分にあるものがあるって気付いたし、能力が高すぎるのもそれはそれで苦労するっていうのも理解してるから大丈夫。コウイチに兄みたいな天才になれたらなりたい?って聞いても絶対やだって言われる。